2013年9月20日金曜日

海外不動産投資で節税?


海外不動産への直接投資を検討する個人が増えてきました。中長期の円安で為替差益を得ることや、節税を目的にする投資家が中心で、ニューヨークなどの大都市や新興国の高級アパートメントを取得して賃貸する場合が多い。だが、現地独特の取引慣習などリスクも少なくない。税務上の扱いもしっかり理解しておくことが重要だと思われます。

日本経済新聞より引用




















東北地方に住む自営業、高橋浩二さん(仮名、54)は3月、英国ロンドンの高級住宅街チェルシーにある賃貸アパートの一室を約50万ポンド(当時約7250万円)を投じ購入した。築100年を超すレンガ造りだが、高橋さんは「減価償却で節税できるのが魅力。円はいずれ安くなる。いい物件があればさらに買う」と語る。8月下旬にはコンサルタント会社のツアーで米国ニューヨークも物色した。
■7年で減価償却
 日本の税制ではレンガ造りのアパートは建築から38年かけて減価償却するが、高橋さんのように法定耐用年数を過ぎた物件を取得した場合、償却期間はその0.2倍に短縮される。1年未満は切り捨てなので、わずか7年で建物価値をゼロにできるのだ。償却費用が大きいため、高橋さんの不動産賃貸所得は赤字。その分だけ課税所得が減り、所得税の節税につながる。具体的にどれだけ節税できるかは、物件を売却するまで確定しない。減価償却が大きい分だけ税務上の物件価値は下がっているので譲渡所得は大きくなる。それでも取得から5年超で売却すると譲渡所得の税率は分離課税で20%。所得税率が住民税と合わせて43%だった高橋さんには節税メリットがある。放っておけば税率43%で総合課税される所得の一部を、税率20%の分離課税にできるからだ。
 しかし、これはあくまで机上のシナリオ。為替はもちろん、物件の売却価格もその時々の相場に左右されるし、何らかの理由で5年以内に手放さざるを得なくなれば、譲渡所得の税率は39%と高い。そもそも物件を売却するまで、所得税の負担が重い高所得者でいられるかもわからない。
■コンサルの質に差
 日本の投資家の多くが契約する、国内で営業するコンサルタント会社の場合、手数料は購入物件価格の3%前後が相場。加えて内装工事の手配、テナントの募集などは別途手数料がかかるほか、税務申告のために現地の税理士らとも契約する必要がある。海外不動産の売買は宅地建物取引業法の規制対象ではなく、コンサルタント会社の営業に免許は不要。海外不動産に関するノウハウもサービス水準もばらつきが大きい。
上記のようにコンサルタント会社は現地に拠点を置き、物件の管理から最終的な売却までコンサルティングできる体制かどうか、よく見極めることが重要と思われます。